FCバルセロナスプリングキャンプとは
FCバルセロナスプリングキャンプでは、現地FCバルセロナで行われているトレーニングと同様のトレーニングが行われ、一つのトレーニングの中にボールを使いながら、技術的(攻撃面・守備面)、戦術的要素、さらにそれぞれのポジションにおける動き方などを1つのテーマにそって同時にトレーニングが行われる。
戦術面では「幅と深さ」「グループでの効果的なボールポゼッション」「判断の基準」など、バルサの戦術の基礎について学び、学んだ内容を各ポジションの動きに当てはめていく。
技術面ではドリブルやシュートだけでなく、「状況判断を伴った認知」「ボールを受ける際の体の向き」「逆足でのコントロール」「マークを外す動き」などの向上を目標に指導していく。

1日目 憧れのコーチたちと対面
キャンプ初日、会場の大津町運動公園内ホールにて開会式が行われた。キャンプを運営する株式会社アメージングスポーツラボジャパン、代表取締役社長・浜田満氏が保護者と子どもたちに挨拶。同氏はキャンプがもたらす子どもたちの可能性と熊本復興への想いを述べた。
次は指導に当たるスペイン人コーチ陣からの挨拶。優しい笑顔で話す姿に、子どもたちも緊張がほぐれた様子だった。
初日は午後のトレーニングのみ。整備された天然芝のグラウンドには、グループごとにオーガナイズされたトレーニングセッションが設置されていた。
トレーニングのテーマは「幅と深さ」。ボールを効率よく循環させるトレーニングだ。はじめて体感する子どもが多く、トレーニング開始時にはなかなか上手くいかないシーンもあったが、その都度、コーチが子どもたちに質問。子どもたちがトレーニングの本質を理解できるよう、密度にコミュニケーションを重ねた。
2時間のトレーニングを終え、1人の子どもに感想を尋ねると「日本と世界のサッカーでは教え方が違うと感じました。1度にこれほどたくさんの戦術を学ぶなんて、本当にびっくりしました」と驚いていた様子。
グラウンドを後にする子どもたちは“何か”を掴んだような表情であった。

2日目 バルサの真骨頂を体感
初日では2時間ばかりのトレーニングを行なった子どもたち。2日目の子どもたちの表情は「新しい何か」を学べることに期待に胸を膨らませていた。
2日目のテーマは「ボールを空いているスペースへ展開」。このテーマに沿った主要トレーニングが「ロンド(球回し)」だ。トレーニングはベーシックなオーガナイズから、さまざまなものに移行されていく。
単にボールを回すのではなく「どこにボールを回すのか」「なぞそこなのか」といった細かな理由を突き詰めていく。はじめはなかなか上手くできなかった子どもたち。しかし、その理論を理解できた瞬間に、堂々と納得した様子のプレーへと変わった。
サッカーの蹴る・止める・動くといった動作には目的があること。目的が理解できるからこそ、自身を持ってプレーができる。
午前と午後の2セッションのトレーニングを子どもたちは、真剣に楽しく行なっていた。

3日目 戦術には答えがある
初日と2日目は曇り空で肌寒い気温だったが、3日目は打って変わって日差しが眩しく暖かな日となった。
3日目のテーマは「マークを外す動き」。トレーニング中、コーチは子どもたちに“正解”を導く。サッカーには唯一の選択はない。しかし、その答えを導くにはベースとなる正解があってこそ。コーチは、マークを外す動きの方法やそれを行なうことによって、チームが何を行えるかを徹底して指導した。
トレーニング後、参加している子どものサッカーノートを見ると、コーチから言われたアドバイスをびっしりと書き残していた。ノートの至る所に攻撃、守備、ボール、オン(オフ)・ザ・ボールの動きが書かれていた。子どもたちのトレーニングは、グラウンド外で続いているようだった。
キャンプは後半へと移り、子どもたちはさらに多くのことを学んでいく。最終日には、今まで学んできたことを披露する大会「バルサカップ」が行われた。
