バレンシアのムニル・エル・ハダディは、ゴール直後にスタンドに向かって両手を合わせる謝罪のジェスチャーを見せ、バルサのアンドレ・ゴメスもゴール後に喜びのパフォーマンスを見せることはなかった。

バルサキラー、ムニル

 期限付き移籍の場合、売り手側のクラブが古巣との試合に選手が出場することを禁止する条項を付け加える場合がある。しかしバルサがこの条項を利用することは皆無に等しい。なぜなら、バルサにとって期限付き移籍とは選手ができる限り多くの試合に出場できるチャンスを与えるためであり、出場を制限することはその意図に反するからである。そしてもうひとつは、この条項はクラブ間に健全な競争をもたらさないとの理由からである。

 そのおかげでバルサからバレンシアに期限付き移籍をしているムニルは、3月19日のリーガ第28節でカンプ・ノウのピッチに久しぶりに立つことが可能となった。この日、ムニルはバレンシアのホームで行われた2016年10月22日のリーガ第9節のバルサ戦に続き再びゴールを決めた。

 期限付きで放出した選手に苦しめられる結果となったバルサだが、たとえヨーロッパの主要リーグでこの出場制限条項が多用されている事実を認識していたとしても、今後もこの方針を変えるつもりはないという。
 欧州サッカー連盟(UEFA)は、この条項の違法性を明確に指摘しており、欧州の主要クラブに注意を促している。

 2016年10月22日にメスタージャ(バレンシアの本拠地)で行われたリーガ第9節のバルサ戦、そして2017年3月19日にカンプノウで行われたリーガ第28節のバルサ戦。この2試合でゴールを決めたムニルは、結果的には黒星となったものの、今シーズンの国内リーグにおいてホームとアウェーの2試合でバルサからゴールを奪った最初の選手となった。

 自身が現在もバルサの選手であることを忘れていないムニルは、ゴールを決めた後も喜びを顔に出すことはなく、そればかりかスタンドに向けて両手をあわせバルササポーターに謝罪するジェスチャーまで見せたのだ。

 バルサが意図した通り、今シーズンのリーガで5ゴールを記録しているムニルはレギュラーとしてバレンシアで着実に成長を続けている。たとえその内の2ゴールがバルサ相手に決めたものだとしてもだ。

アンドレ・ゴメスに降りかかるブーイング

 ムニル同様、2016年7月にバレンシアからバルサに移籍したアンドレ・ゴメスもゴール後のパフォーマンスを見せることはなかった。3月19日のバレンシア戦で後半44分にバルサ4点目となるゴールを決めたアンドレ・ゴメス。皮肉にも古巣との試合でバルサ初ゴールを記録することとなった。
 いまだに新天地への適応に苦しんでいるアンドレ・ゴメスにはそのパフォーマンスに批判の声もあがっており、バレンシア戦の後半29分にラフィーニャと交代でピッチに入った際にはバルササポーターの一部からブーイングが浴びせられた。後半44分にゴールを決めた直後に喜びのパフォーマンスを見せなかったアンドレ・ゴメスだが、その背景には古巣バレンシアへの思いの他に、味方サポーターから受けたブーイングへのやるせない思いが少なからず影響している可能性も考えられる。

 この試合では、やがて1回忌を迎えるバルサの英雄ヨハン・クライフをしのんだプラカードや旗がスタンドに掲げられた。
 後半19分にはイヴァン・ラキティッチと交代でセルジ・ロベルトが途中出場。チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦セカンドレグでパリ・サンジェルマンに6―1で勝利し、バルサの歴史的逆転勝利の立役者となった同選手ががピッチに入った際には、スタジアムに訪れた78675人の観衆から大きな拍手と声援が送られ、セルジ・ロベルトの名前がバルササポーターの心に深く刻まれたことを証明した。

MundoDeportivo編集部

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