執筆者:Fernando Polo
指揮官としてのキャリアからはすでに退いているが、その言葉は今でも多くの人々に感銘を与える。かつて偉大なリーダーシップでチームを導いてきたデル・ボスケが、ムンドデポルティーボのインタビューで新型コロナウイルスへの対応などについて話してくれた。
-自宅ではどのように過ごされていますか?
「楽しく過ごしているよ。そもそも引退してからは暇になったからね。息子アルバロの就職を除けば、特に責任もなかった。トークショーやイベントに参加するくらいだ。外出禁止が難しいことは分かっている。しかし当局が言うとおり、今はこのパンデミックを終息させることが第一だ。そのためにやらなければいけないことはみんな理解していると思う」
-あなたやあなたの家族には問題ありませんか?
「家には4人いるけど、みんな外出しない。お客も来ないのでリスクはほぼないだろう。ただ高齢者はとても危険だから、その意味ではちょっと怖いね。専門家の意見をよく聞いているよ」
-ロレンソ・サンスとゴヨ・ベニートが亡くなりました。
「ロレンソもゴヨもレアル・マドリードから愛されていた。ベニートについては持病があることを知っていたが、とても悲しいよ。ロレンソのことも残念だ。最後に会えなかったことを含めてね」
-このパンデミックから我々はどのような教訓を学べると思いますか?
「現在のスペインの状況については多くの批判もあるが、事前に準備していた国などなかった。個人的には、政府を批判するのは間違っていると思う。世界中の誰もがこんな状況は想像していなかった。私も3月3日と4日にマドリードでイベントに参加したけど、中止すべきという意見はなかったよ。ヘタフェのアンヘル・トーレス会長がヨーロッパリーグの遠征拒否を発表したとき、やっと人々は考え始めたんだ。ただ、その時点でメスタージャではチャンピオンズの試合が行われており、三千人のアトレティコファンがリヴァプールにいた。それを止めようとする人間はいなかった。これがここまでの経緯だよ」
-しかし危機管理能力という点で、ペドロ・サンチェス首相は多くの批判を集めています。
「国のなかで意見の分裂が起きているが、多くの死者を出しているこの状況で、政治的利益を得ようとするのはナンセンスだ。今は与党と野党が協力してこの状況を乗り越えなければいけない。団結して問題に取り組むときだ。政治家は専門家の意見に耳を傾けているが、その専門家でも分からないことがあることを考慮する必要がある。以前、ウイルスや流行病の専門家が、これは春のインフルエンザだと言うのを聞いた。多くの人々は過去の事例を持ち出すが、指導者はその瞬間に決断を下さなければいけない」
-フットボールはいつ再開されると思いますか?
「分からないが、どちらにしてもリーガは終了させる必要がある」
-選手の給与削減についてはどう思いますか?
「本当に分からない。それが連帯感から生まれたものなら良いことだと思う。各クラブにはスタッフを真剣に取り扱う必要があるからね」
-この危機のあと、フットボールは変わると思いますか?
「どうだろう。大きな移籍についてのうわさがいくつかあるが、例年よりは少なくなるはずだ。ファンが受ける影響もある。最初はスタジアムに戻るのが難しいかもしれない。そのうち元に戻るとは思うけどね」
-フットボールだけでなく、世界が変わる可能性については?
「国と政府は何が起こったのかを学ばなければいけない。世界中に低価格で輸出されているからといって、それに依存するのはとても危険だよ。例えば中国の商品とかね。個人的に中国に何かあるわけじゃない。国にとって必要不可欠な商品を、外国に頼り切るのが問題だと言いたいんだ。これは政府や行政が対応しなければいけないよ。自動車工場でマスクを作れと言っているわけじゃない。海外から購入するしか選択肢がないのがおかしい」

ビセンテ・デル・ボスケ
デル・ボスケ「今は団結して問題に取り組むときだ」
レアル・マドリードを率いて数々のタイトルを獲得したあと、スペイン代表にワールドカップとユーロ優勝をもたらしたビセンテ・デル・ボスケ(69歳)は、スペインのフットボールにおけるベンチマーク的存在である。