執筆者:Roger Torello

 ミランで一時代を築き、FCバルセロナでもプレー経験があるデメトリオ・アルベルティーニ。現在は実業家としてイタリアフットボール連盟とリンクしている元アッズーリが、ムンドデポルティーボにイタリアにおける新型コロナウイルスの状況を説明してくれた。

 妻のコンスタンツァと2人の子供、ウリアナとフェデリコと1週間自宅に閉じ込められているアルベルティーニは、まず最初に「新型コロナウイルスをインフルエンザのように考えている人もいるが、それは事実ではない」と警告する。

「このウイルスが恐ろしいのは、人から人に感染するスピードがはやいことだ。多くの人々が同時に感染した結果、イタリアの病院は崩壊している。患者の大部分は高齢者だが、40歳の入院患者も確認されているよ」

 スペインでもこの"Covid-19ウイルス"が猛威を振るい始めたが、アルベルティーニはイタリア、特に彼の都市ミラノでの経験を踏まえ、社会全体で取り組む重要性を説いた。「スーパーヒーローになることは求められない。各自が責任を持ち、自宅に待機することが重要なんだ。自由を取り戻すにはあと15日から20日は外に出てはいけない。冗談のように聞こえるかもしれないけどね。それは政府に課せられた責任であり、それぞれの国民の責任でもある。みんなが自宅に待機すれば、ウイルスは減少するんだ」

 他のイタリア人と同じように、アルベルティーニの生活も変化したという。「人生で初めての経験だ。今、私の子供たちはオンラインで授業を受けている。私は自分の会社を持っているので自宅で仕事ができる。フットボール連盟とも、ミラノ市のスポーツ委員会ともビデオで会議しているよ」

 健康面の問題だけでなく、経済への影響も不安にさせる新型コロナウイルスだが、アルベルティーニはできるだけポジティブに過ごそうとしていると語った。「家族と一緒に料理をしたりね。ケーキ、パスタ、アイスクリームも作ったよ」

 これについては多くのイタリア人も同じように考えているという。「毎日18時になると、人々がバルコニーに出てきて歌うんだ。イタリア国歌"Inno di Mameli(マメーリの賛歌)"から始まり、次に"Azzurro(ブルー)"そして"Ma il cielo è sempre più blu(それでも空はいつも青い)"が続く。本当に感動的な光景だよ。みんなで一緒に戦おうって気持ちになる」

 アルベルティーニはセリエAが4月3日まで中止されたことについても触れた。「今の議論は試合ではなく、トレーニングの開催についてだ。選手たちはトレーニングも行われるべきではないと考えている。現時点ではすべての活動が4月3日まで停止されているが、これが延長されるのは確実だろう」

 元フットボール選手として、アルベルティーニは競技の中止が与える影響について理解している。「何もしていなかったら、試合ができる体力を取り戻すの5週間は必要だが、自宅で筋力トレーニングなどを行っていれば、2週間くらいで復帰できるはずだ」

MundoDeportivo編集部

著者プロフィール MundoDeportivo編集部