執筆者:Pepe Gil-Vernet

 事の発端は6月にルイス・エンリケが個人的な理由でスペイン代表監督を辞したことから始まる。後にこれは骨肉腫に冒された娘シャナと過ごすためだったことが判明したが、その娘は8月に亡くなっている。一方、後任を務めたアシスタントコーチのモレノは、欧州選手権予選を無敗で終えてチームを本大会出場へと導いた。

 9月、モレノは「ルイス・エンリケが復帰を決めた場合は喜んでアシスタントコーチに戻る」と話していたが、今月19日にスペインフットボール連盟がルイス・エンリケの復帰を発表したとき、モレノについてアシスタントに戻らないことが明かされた。

 先日の記者会見で、ルイス・エンリケは次のように語っていた。「モレノはコーチングスタッフに入っていない。それに関しての責任者は私だ。彼は私に欧州選手権での本大会でも指揮を執りたいと言ってきたが、しばらくするとアシスタントコーチでも構わないと発言内容を変えた。彼が監督になるため努力していることは分かっているが、とても不誠実だ。時に野心は大きな問題を起こす。私はそのような人間をコーチングスタッフに使うことはできない」

 この"不誠実"という指摘に対して、モレノは「このような状況を迎えたくなかった」と反論の会見を開いている。

「最近とても不愉快な時間を過ごしている。もちろん私が望んだことではない。記者会見を行わなかったのには理由がある。必ず誰かを批判してしまうと考えたからだ。だが、個人的に攻撃され、不公平なラベルを貼られた以上、私は必要な情報を提供しなければいけない。あの記者会見におけるルイスのコメントは断片的で、重要なピースが欠落していた」

「まず最初に、9年間一緒に仕事をしたルイス・エンリケに感謝したい。私は彼から多くのことを学んだ。コーチングスタッフや選手たちにも感謝している。また、私を支えてくれた人々にも感謝の気持ちを述べたい。代表チームを率いるのはとても複雑なことであり、彼らのサポートなしでは難しかった」

「私は9年前、当時バルサBを率いていたルイスのもとで指導者としての道を歩み始めた。2011年、彼がバルサを出たいと言ったので、私たちも残り2年の契約を捨ててローマに付いていくことを決めた。2012年に彼が辞任したあとは、我々も1年間失業した。他の仕事を探すのではなくルイスを待つことにしたからだ。我々はずっと彼に忠実だった。そして2013年、ルイスがセルタの監督に就任したとき、また彼と仕事が始まった」

「そのあと2014年からはバルサで成功を収めた。しかし、この美しい日々にも終わりが来た。ルイスは我々に"これから監督をするかどうかは分からない"と言ったが、私はセラピストのホアキン、フィジカルトレーナーのラファエルと"あなたを待つ"と伝えた。それでも彼は"何も補償できないから君たちの好きな仕事をしてくれ"と言った。それから私たちはファン・カルロスと1年過ごした。その物語がどのように終わったかはご存知のとおりだ」

「そして我々はルイスと一緒に代表チームで仕事を再開した。今年6月19日にルイスの辞任が発表されたあと、連盟会長から監督への昇格が打診された。私はルイスからの許可をもらいこれを承諾した。いつになるか分からないが、我々はルイスが戻ってくるかもしれないと考えていた。そのためには我々スタッフが残らなければいけないと思った。もし我々がチームを離れたら、別の監督が新しいコーチングスタッフと共に就任する。そうなるとルイスは戻れなくなると考えたんだ」

「9月12日にルイスとのミーティングがあった。彼は"君の仕事に満足している"と語り、"誇りに思っている"と言ってくれた。私は"これからもこの仕事を続けたい"と答えたが、何も間違っていなかったと思う。私は以前から"ルイスが監督に復帰するなら喜んでアシスタントに戻る"と言っていた。そのときも、"もしあなたが戻るなら私はアシスタントに戻る"と伝えた。しかし、彼の返事は今でも信じられない。"それは完璧な答えだが、君にはもう期待していない"と言われたんだ。私はショックを受けてその場を去った。他のスタッフには、言われたことをそのまま伝えたよ」

「私は何が間違っていたのかずっと悩んだ。彼に電話してその理由を問いただそうかとも思った。そのあと、ルイスが代表監督に戻ろうとしていることを知った。私はこれまで常にルイスに忠実だった。正直言って、なぜルイスが私と仕事をしたくなくなったのかが分からない。これはどんなに年月が経っても理解できないままだろう」

「ルイスが現場に戻ることを一番最初に喜ぶのは私だ。私は彼のアシスタントとして他のスタッフと一緒に欧州選手権を戦い、スペイン代表が成功を繰り返すのを見たかった。ただ、今はこう言いたい。私の夢は監督を続けることだった。それは隠さない」






MundoDeportivo編集部

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