執筆者:Manuel Bruna

 イベントが始まる前からその兆候はあった。ピケが息子サシャを連れてグランビア通りを歩いていると、それに気がついた人々から声をかけられたり、写真を求めらたりしている。なかにはベティスのユニフォームを着た人間もいて、「ベティコと一緒に写真をお願い!」と繰り返していた。

 ピケがマドリードにいる間、バルサについて、もしくは彼自身に対して野次を飛ばすものは誰もいなかった。グランビア通りが騒がしかったのは救急車が通ったときくらいで、それ以外はまさに静寂に包まれていた。

 ピケがリサイクルを訴えるスピーチを終えたあと、人々からは大きな拍手が沸き起こっている。唯一そのスピーチに賛同しなかったのは、彼の息子だけだった。サシャは父親が話しているときに退屈そうにして、イベントマスコットのパンダの着ぐるみや通りかかった犬を撫でたりしていた。

 イベントが終わったあと、ピケはバルセロナに戻るため空港に向かう。途中、メディアのマイクには一言も言葉を発しなかったが、写真を望むファンのリクエストには快く応じていた。  

 このとき、一瞬だけ"una manita al Madrid(マドリード相手に5点)"という声が聞こえたが、誰かが叫んだのはそれだけだった。多くの人々は「ピケが近くに来た!」と喜んでいた。唯一のトラブルは、人々に押されたパンダの着ぐるみが地面に転んだことくらいだろう。

MundoDeportivo編集部

著者プロフィール MundoDeportivo編集部