執筆者:Ferran Martinez

 しかし事態は予想外の方法で進む。最初のアクションは2週間前。金曜日のトレーニングセッションが終わったあと、ジェラール・ピケがサンペルに話があると声をかけた。ヴィッセル神戸がサンペルに興味を持っており、ピケは楽天の三木谷浩史CEOから本人と話して欲しいと依頼されていた。

 ピケからヴィッセルのオファーを聞いたサンペルだが、そのときは前向きに考えられなかった。移籍先を探していたのは確かだが、ヨーロッパを離れることに難色を示したのである。しかしその日の午後、そのサンペルにある電話がかかってきた。アンドレス・イニエスタからだった。元キャプテンは、ヴィッセルのこと、神戸市のこと、日本の文化、このクラブがバルサ化を目指していること、そしてサンペルが加わることの重要性を説いた。この電話は1度ではなく、それから数日間続いている。

 2月25日、ヴィッセル神戸の副社長とスポーツディレクターがバルセロナにやってきた。彼らは『Mobile World Congress』に主席していた三木谷オーナーと合流すると、サンペルにオファー内容を提示した。三木谷はヴィッセルをアジアで最高のチームにしたいこと、そのためにサンペルが重要な存在になると語った。

 週末までに決断を下す必要があったため、その後数日間のサンペルは、起きているときはずっと日本行きを検討する生活を過ごす。家族や親友と話した。イニエスタと話した。バルサBの元チームメイトで、現在日本でプレーするダビド・バブンスキとも話した。スペイン時間早朝に放送されたヴィッセル神戸対サガン鳥栖の試合も観た。そして最後にサンペルは三木谷に連絡した。「イエス」の返事だった。

 今日、サンペルはバルサに別れを告げたあと、夜には日本に向かう。東京でイニエスタと合流し、入団記者会見が行われる予定だ。ヴィッセル神戸での背番号は、彼のアイドルであるシャビ・エルナンデスの「6」になる。 

MundoDeportivo編集部

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