執筆者
Javier Gascon

 開始23分にイエローカードを受けて注意深くなるまでは、手を使って止めたことを理由に3つのファウルを受けただけだった。スピードとスタミナが豊富なこのサイドバックは、試合終了まで与えられた仕事を全うしている。メッシがこの数試合で生み出していたようなチャンスを作れずに退いたことは、マフェオ個人のミッション成功を意味するものだろう。

 しかしこの戦法によって、ジローナがチームとしての恩恵を受けたかには疑問が残る。例えば自陣でボールを奪った際にも、サイドバックのマフェオには攻撃参加が許されていなかった。チームメイトたちが、マフェオにボールを回していいのか戸惑う場面も見られている。

 ただ、この試合でメッシがボールを受ける機会は圧倒的に少なかった。だがメッシは、この試合における自分の役割は、ジローナに混乱を生じさせることであると素早く切り替えた。時にはオフサイドラインぎりぎりのポジショニングを取るなど、メッシはマークを不自然な位置に釣り出す動きを実行している。

 パブロ・マフェオはサン・ジュアン・ダスピ出身の20歳。エスパニョールで育ち、昨シーズンに続きマンチェスター・シティからのローンでジローナに加わっている。シティのエクトル・ベジェリンと呼ばれるこのサイドバックは、試合中にメッシと会話を交わしたと語っている。「"年齢はいくつ?"とか"シティからのローンだよね"なんてことを聞かれた。メッシはとても親切だったよ」ただ、試合後にユニフォームを交換した相手はそのメッシではなく、テア・シュテーゲンとおこなっている。友人からこのゴールキーパーのユニフォームをお願いされたらしい。

 この試合だけではなく、メッシはこれまでもマンマークで対応され続けた。例えばスーペル・コパ第1戦では、ジネディーヌ・ジダン監督はマテオ・コヴァチッチに徹底したメッシ封じを命令している。

 記憶に残っているのは、2015年に行われたコパ・デル・レイ決勝アスレティック・ビルバオ戦だ。ミケル・バレンシアガによるマンマークは、当時ビルバオを率いていたバルベルデ監督の指示である。しかしこの試合のメッシは、バレンシアガを含む4人をドリブルで抜き去りゴールを決めた。チングリは試合後のインタビューで次のように語っている。「メッシを止めることは不可能ではないが、実際ほとんど無理に近い。彼は自分の動きがチームにどんな影響を与えるかまで計算している。バレンシアガのマークは途中まではうまくいっていたが、最終的にメッシはそれを振り払った」

 ジローナ対バルサ戦におけるマフェオの執拗なマンマークは、2009年に行われたバルサ対アルメリア戦で、ウーゴ・サンチェス監督からシャビへのマンマークを命じられたチコ・フローレスを思い出させるものだった。「気がおかしくなるくらい厳しいマークだった。何とか逃れようと、次のプレーを考えてワンタッチを心がけるようにしていたんだけど。相手がこういう戦い方をしてくると、あらゆるプレーが困難になる。でも、そういった戦術にも慣れていかなければならない」試合後、シャビはそのように話したあと、チコ・フローレスからユニフォーム交換を希望されたことも明かしている。

MundoDeportivo編集部

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