執筆者
CRISTINA CUBERO

 しかし、ロッカールームで自身の重要性が低くなっていたことを悟ったシャビは、2014年ワールドカップブラジル大会終了後、バルサを去る意向をSMSでメディアに知らせていた。周囲はシャビにクラブに残るよう説得。最終的に1年の残留を決心し、2014―15シーズン終了後にバルサを去った。

 これは現在のアンドレス・イニエスタを取り巻く状況に似ているが、バルサのセントロカンピスタはおそらく、シャビのような決断を望んでいないだろう。

 イニエスタは12歳でバルサの下部組織「ラ・マシア」に入団。2002―03シーズンのトップチーム昇格から2016-17シーズンまでに、30個ものタイトルをクラブで獲得した。

 そんなイニエスタは今年33歳。フィジカル面での問題がチームへの貢献を妨げていると自覚している。イニエスタの才能、プロ意識、そして今後もタイトルを積み重ねたいという意志に疑いの余地はない。だが、年齢と数多くの故障が「ベンチ要因」という不名誉な役割に追いやっている。これはイニエスタ自身のフットボール史上例を見ない。能力ではなくフィジカルの問題でベンチに置く監督を非難はできず、イニエスタがベンチに座っている姿を見るのは、誰もが心を痛めることだろう。

 一方シャビは今年、所属するアル・サッドとの契約を1年間延長した。さらにカタール政府は2022年に同国で開催されるワールドカップのアンバサダーとしてシャビを起用しようとしている。

 契約の中には現役引退後のために、アカデミーで役職につくという事項も含まれているという。それはすでにシャビの兄弟も働いている、カタールのスポーツエリート養成施設「アスパイア・アカデミー」のことを指す。シャビは引退後のキャリアをすでに築いているのだ。

 そして現在家族と快適に暮らしているシャビは、2022年のワールドカップに向け多くのタレントを自国リーグに呼び込む活動もしている。その中でイニエスタを高待遇でカタールに来るよう説得しているようだ。

 イニエスタ自身は過去に「バルサと対戦することはありえない」と表明している。そのためペップ・グアルディオラ監督からの誘いは現実とはならないだろう。グアルディオラ監督はイニエスタをロッカールームにおいて「模範的な存在」として必要としているが、バルサのライバルクラブとなり得るマンチェスター・シティーに移籍することは考えづらい。

 話を戻すと、カタールでイニエスタは家族と落ち着いた暮らしができるだろう。リーグのプレッシャーは低く、とてつもない高待遇が待っているのだから。さらにワールドカップ関連の活動に関われば、良いサラリーを受け取れる可能性もある場所だ。

 イニエスタはFIFAワールドカップロシア大会を最後に、スペイン代表から引退する。バルサでの将来は決断していないが、代表からの引退は既に決心している。このワールドカップが「スペイン代表イニエスタ」の魔法のプレーが見られる最後のチャンスだ。

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MundoDeportivo編集部

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