率直に言えば、それは選手が他チームへ移籍できないケースである。2017年6月11日付フランス紙『レキップ』によると、マルコ・ヴェッラッティがアンテロ・エルンリケスポーツディレクターに移籍の希望を伝えたが、そこに立ちはだかる「最大の敵」がアル=ヘライフィー会長だと報じている。

 過去の事例を見れば一目瞭然だろう。これまで移籍を希望した選手の多くが、アル=ヘライフィー会長の「契約内容を改善した更新」という提案を飲み込んでいるのである。

 2014年、アドリアン・ラビオは、パルク・デ・プランス(PSGホームスタジアム)では主役になれないと予想し、ASローマへの移籍を望んだ。しかし、内容を見直した2019年までの契約延長をオファーされ、PSGに残留している。

 2015年には、ティアゴ・モッタがアトレティコ・マドリード復帰の許可を得るため、クラブの説得を試みたが、これも同じように実現しなかった。不満を抱えたモッタは、アメリカツアーで親善試合を欠場。この問題は、年俸アップという提案で落ち着いている。

 ブラジル人DFのチアゴ・シウヴァとマルキーニョスも、契約内容の更新で移籍を諦めた。ダヴィド・ルイス(現チェルシーFC)は、ウナイ・エメリ監督の構想外だったため、前述の選手たちとはケースが異なる。

 今夏FCバルセロナが狙っているヴェッラッティについても、法外な移籍金を要求することで、交渉の余地をなくそうとするだろう。その間、ヴェッラッティ本人には、契約内容の見直しを提案するというお決まりのパターンだ。カタールの大富豪から選手を引き抜くことは一筋縄ではいかない。

MundoDeportivo編集部

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