18歳とは思えない落ち着きと、確実な足元の技術で、チームメイトや監督からの信頼を得ている冨安選手。今シーズン9節終了時点で8試合にフル出場という数字が、それを裏付けている。

 しかも、その8試合のうち3試合では、本来のセンターバックではなく中盤での出場だ。ポジションによって、使われるフィジカルはもちろん、理解しなければならない戦術も異なるが、冨安選手はこの若さでそのユーティリティーさを持つ。彼がこれほどまでに早く主力選手として定着したのはなぜだろう。その理由のひとつに、ジュニア時代に通っていた「FCバルセロナスクール福岡校(以下バルサスクール)」での経験が生かされているという。

 小学生当時、福岡県福岡市にある「三筑キッカーズ」に所属していた富安選手。2009年、バルサスクールの開校が決まった際、キッカーズのコーチから「福岡にバルサのスクールができるからいってみたらどうか」と入会を勧めた。11歳のときだった。

 バルサスクールには、さまざまクラブチームから高いスキルを持った選手が集まっていた。その中には、現在冨安選手と同じくJリーグで活躍する高江麗央(たかえ れお=18歳、ガンバ大阪)もある。「所属しているチームとはまったく異なる環境。レベルも高く、とても刺激になりました」冨安選手はそのように話す。

 現在のプレーに大きな影響を与えた思い出のひとつに、アトレティコ・マドリードの下部チームと対戦したスペイン遠征を挙げた。「とにかくボコボコにされました。10点くらい失点して……ショックが大きかったです。試合終盤、アトレティコが恐ろしいほどフィジカルが発達した黒人選手を投入してきた瞬間は、とどめを刺しにきたなと震えました(笑)」それでもチームは、石井快征(いしい かいせい=17、サガン鳥栖U-18)が1点を決めるなど、健闘を見せた。
 
 そのスペイン遠征で初めて分かったことがある。現地の選手は身体の大きさに関係なく、全員が高度なテクニックを持ち、かつ正確にスピーディーにプレーしていたことだ。同じ年代であるのに、ただボールを蹴るのではなく、チーム全体が流動的なサッカーをする姿に衝撃を受けたという。

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FCバルセロナスクール福岡校

MundoDeportivo編集部

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