執筆者
GABRIEL SANS
エル・クラシコでのメッシは、まるで獣のように覇気を身にまとい、勇敢で素晴らしいパフォーマンスを発揮した。
たった1人でクラシコに勝利できる力を見せ付けたメッシ。ユニフォームを脱いで、サンティアゴ・ベルナベウの観客に自分の名前を掲げることができるのは、この選手くらいだろう。
「俺の名前を覚えておけ」・・・それが彼のメッセージだ。
レアル・マドリードにとっては、永遠に忘れられない屈辱である。永遠にだ。彼らがアディショナルタイムで負けたクラシコは、長い歴史でこれが初めてだった(『@MisterChip』のデータ)。試合時間90分を過ぎたあと、セルヒオ・ラモスがゴールを決める時間帯「ノベンタ・イ・ラモス」に、この伝統の一戦を落としたというのは皮肉である。
リーガ優勝を再び信じるために血と汗を流し、その結果チームに勝利を与えたメッシ。彼の天分であるスピード、テクニック、そして試合を決める決定力。そのすべてが、バルサにタイトルを与えるために欠かせない要素である。90分を通して輝きが失われることはなかったメッシこそ、唯一無二の存在である。
前半33分、カゼミーロのゴールでR・マドリードが1―0としてから5分後、メッシはイヴァン・ラキティッチからのパスを受け、とんでもないスピードで前進しながらレアルDFダニエル・カルバハルをかわし、左足でGKケイロル・ナバスからゴールを決めた。
そのゴールが499目だったが、そのときの彼には関係なかった。2013―14シーズンにハットトリックを決めたあと、クラシコでゴールを決めていなかったことも、彼にはもうどうでもいいことだった。
前半20分に、マルセロから肘打ちを受けたが、主審のエルナンデス・エルナンデス氏は、そのプレーにイエローカードさえ出さなかった。メッシのゴールはそのうっぷんを晴らすかのようだった。
肘打ちでメッシはピッチに倒れ出血していたため、前半が終わるまでガーゼを付けてプレーをしなければいけなかった。
メッシを試合から外すにはそれ以上のことが必要だ。DFカゼミーロはイエローカードに値するプレーを繰り返したが、主審は彼を退場させず後半69分、同選手は交代のためピッチを後にした。しかし、DFセルヒオ・ラモスはそうはいかなかった。同選手は恐ろしい両足タックルでメッシを止めようと試みた。この危険なプレーにより同選手は一発退場。誰もがそのジャッジを疑わなかった。
だが後半86分、1人少ない状況でありながらR・マドリードは、FWハメス・ロドリゲスがバルサの隙きを突き、2―2の同点へと振り出しに戻す。
それでもメッシは譲らなかった。後半90分、勝たなければならない試合で決定打となるゴールを決め2―3。そのまま試合は終了した。メッシは1試合で2得点を挙げチームを勝利へと導いた。その得点はクラシコでのピチーチ(得点王)の500得点目でもあった。すでに5度バロンドールを獲得した彼は、次の受賞に向け猛烈にアピールしている。
ゴールは試合終了わずか13秒前、まさに値千金となった。